しのうしのブログ

たまに外出

十勝坊主の観察

先日、十勝坊主の観察会があったので参加させていただきました。

十勝坊主は、円形の土の盛り上がりのことで、

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 のようなもの。
草におおわれていますが、一ヶ所にいくつもありました。
十勝坊主は、地中の水分の凍結融解作用によって土が盛りあがってできるのだそう(周氷河地形)。
十勝以外にもあります。一般的には、アースハンモック、芝塚、凍結坊主と呼ばれます。

以下、順番に。

帯広畜産大学構内

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 遠いのではっきりしませんが、盛りあがっているところがいくつもあります。
雪の残っている頃が、盛り上がりがわかりやすいそうです。

北海道指定の天然記念物になっています。

帯広空港滑走路西側

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素人が見ても、多数あるのがわかります。

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こちらは、研究のため、草を刈ったもの。

ここで、説明していただきました。

南北にやや長いだ円形。1メートル以上のものがあり、高さは数十センチ。
内部を調査したところ、火山灰の乱れなどから、3000年くらい前から成長が始まったそうです。
冬の間の温度も測定したそうです。よく言われるように、雪が少ないと、地中の温度は下がるようです。

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ここは、空港敷地内で、入るには許可が必要です。

空港が民営化されたため、ここの先行きが心配されています。

帯広空港

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わかりにくいですが、林の中に多数あります。

民有地なので、道路からの観察です。

イタラタラキ排水路横

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何ヶ所か見てきたので、すぐに十勝坊主がわかりました。

排水路を作ったときに一部が失われたそうです。

更別湿原

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 背の低いカンバ類であるヤチカンバが天然記念物になっています。

もう目が慣れたので、十勝坊主があることもわかります。
十勝坊主の方は天然記念物ではないそうです。

乾燥化が進んでいて、ミヤコザサが目立ちました。

谷地坊主の観察

最後に、谷地坊主も見に行きました。
十勝坊主と似た言葉ですが、異なります。

谷地坊主は

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のように、カブスゲなどの根や茎などがまとまって盛りあがったものです。

 

◎案内してくれた先生、説明してくれた先生方、どうもありがとうございます。
勉強になりました。

 

以平(いたいら)

とかち帯広空港は以平町と泉町にまたがっています。
1974年に閉校した泉小学校の旧名は上似平小学校。

「以平」はアイヌ語のイタラタラキに由来するといわれています。

川の名前を含め、いろいろな表記・解釈があります。

イタラタラキ(撰定報文など)、イタッタルキ(若林)、イタラタラキイ(井上)、イタッタルケイ(知里)、イタラタラケ(白野)、イタラタラゲ(バチラー)、イタラタラゲイ(安田)、イタラタラチ(松浦)、イタラタラッキ(更科) など。

最近いわれている説は、i-taratarak-i が十勝坊主のことではないかということです。

辞典によると taratarak は「でこぼこである」(田村)、「凹凸、でこぼこ」(萱野)。

そうだとすると、このイタラタラキが
いつまでも以平の地に残っていてほしいものです。