しのうしのブログ

たまに外出

日高山脈東麓緩斜面 ソリフラクションの観察

山麓緩斜面を観察するために、新得町と清水町へ出かけました。
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・わかったこと
日高山脈東麓の山麓に広がる平坦な緩斜面で、傾斜は2~7度。
でき方は、長期にわたる凍結・融解によって、斜面表層の土砂がゆっくり大量に移動する(ソリフラクション)。
当時の気候は現在より寒冷で、永久凍土が発達するほどではない。
日高山脈は花こう岩やホルンフェルスが多い。

・用語
ソリフラクション・・・霜柱匍行と ジェリフラクションがある。
霜柱匍行・・・斜面で凍上した土砂は、溶けると重力を受け、少し下に落ちます。これを繰り返すことで移動する。
ジェリフラクション・・・深く凍結した斜面の表層部だけが融解し(春先など)、過飽和に水を含んだ土砂が斜面に沿って移動する。
真砂・・・まさ。花こう岩が風化してできた砂。構成鉱物の熱膨張率の違いも風化に関係している。

新得町広内山麓緩斜面の観察
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ダッシュ山の麓に来ました。確かに緩斜面です。牧草地のようになっています。

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足下には花こう岩の破片のような石が沢山ありました。

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バスからなのでぶれていますが、開拓前のこのあたりの風景を想像できます。

f:id:sinousi-2:20211011154212j:plain天気のよい日でした。十勝の北の山々がよく見えました。山の名前を教えてもらいました。
右の高い山が東ヌプカウシヌプリ、その左の山が西ヌプカウシヌプリ。
中央付近、やや右下がりのたいらで真ん中が高くなっている山はウペペサンケ山。
左の方、三角に見える山がニペソツ山だそうです。
右に白い崖が見えます。その手前を十勝川が流れていて、上の平らなところは美蔓台地。その手前の平らなところは佐幌の台地です。新得の町は木の陰。
もう少し右の方角ですが、新得から二つの台地を越えて拓殖鉄道が通っていました。

○清水町円山牧場山麓緩斜面堆積物の観察

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牛さんたちがいる緩斜面の牧場です。

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ここでは斜面の地層を見ることができます。沢山の花こう岩の礫と真砂が混ざっています。

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地層の中にあった、花こう岩です。

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逆光で見づらいのですが、上の方の赤茶色の層は樽前d火山灰。8~9000年前の火山灰です。その下にあるソリフラクションは10000年より前ということになります。約2万年前の恵庭a火山灰は見あたらないそうです。

○清水町御影の原名

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写真のあたりで御影石を採っていたそうです。御影の地名の元になりました。ここの花こう岩を馬鉄で御影駅まで運んでいました。

○清水町円山展望台

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展望台から見える正面の小さな山はホルンフェルスでできているそうです。周囲は浸食されたのですが、硬いので残されたと考えられています。
ホルンフェルスは花こう岩を作ったマグマから熱を受けてできたもので、このあたりでは、ホルンフェルスは花こう岩に沿って分布しています。

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先週、御影の十勝川で見たホルンフェルス(左)は黒っぽかったのですが、ここで見られるホルンフェルスの断面(右)は、灰色です。

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正面の白い建物の向こうにある山は、芽室の嵐山だそうです。近くからだと見上げるのですが、このあたりの日高の山に比べるとかなり低く見えます。
十勝鉄道 美生線は嵐山の向こう側を通っていたことになります。新嵐山駅もありました。

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この山は、剣山。ここからではぎざぎざがわかりにくいですが、地元ではよく知られた山です。

○清水町上旭の花こう岩

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バスからですが、土石流によって運ばれた花こう岩。畑や牧場から集められたものかもしれません。このあたりに沢山あるようです。剣山の谷から流れてきたと考えられています。もっと大きなものもあったそうです。

 

・いつもながら、普段一人では行くことのないような場所まで案内してくださりありがとうございます。
・ソリフラクションという新しい言葉を覚えました。